「期限の利益喪失」の通知が届いた 住宅ローンの一括請求

結論

まず、最初に2つお伝えします。

1つ目。住宅ローンを払えないこと自体が、犯罪になるわけではありません。

住宅ローンの返済ができないことは、基本的には契約上・民事上の問題です。

通知を見て、

「逮捕されるのでは」

「警察が来るのでは」

と心配される方もいらっしゃいますが、住宅ローンを返せないという理由だけで刑事事件になるものではありません。

そして2つ目。

数千万円の一括請求を見て、「そんな金額は払えない」と思うのは当然です。

今から考えるべきなのは、

どうやって今日、全額を用意するか

ではありません。

まず、

何が起きたのか。

今どの段階なのか。

このあと何が起こる可能性があるのか。

まだ何ができるのか。

そこを一緒に整理します。


「期限の利益」とは何か

難しい言葉ですが、考え方はそれほど難しくありません。

住宅ローンで3,000万円を借りたとしても、

通常は、

「明日3,000万円全部返してください」

とは言われません。

35年なら35年という期間を設け、

毎月決められた金額を分割して返していく

という契約になっています。

民法では、期限は債務者の利益のために定めたものと推定するとされています。

つまり簡単に言えば、

決められた期限までは、一括で全部返さなくてよいという利益

です。

それを主張できなくなる状態が、

「期限の利益の喪失」

です。


なぜ、期限の利益を失ったのか

ここは、インターネットの記事だけで判断しないでください。

民法137条には、破産手続開始決定を受けた場合など、法律上期限の利益を主張できなくなる場合が定められています。

一方、住宅ローンでは、

金融機関との契約に、期限前の全額返済を求める条件が定められていることがあります。

金融機関の住宅ローン規定にも、返済遅延など一定の契約事由が生じた場合に、期限前の全額返済義務が発生する規定があります。

ですから、

「何ヶ月滞納したら必ず期限の利益を失う」

と一律には言えません。

確認するのは、

あなたの契約書と、届いた通知です。


契約書が分からなくても大丈夫です

契約書を開いて、

「期限の利益」

「期限前の全額返済」

「失期」

などを探してください。

と言われても、初めて読む方には分かりにくいと思います。

だから、

自分で全部理解してから相談する必要はありません。

契約書。

金融機関から届いた通知。

封筒。

手元にあるものをそのままお持ちください。

一緒に確認します。

契約書が見つからない場合も、金融機関へ確認する方法を考えます。


この通知が届くと、何が変わるのか

1.毎月返済から、一括請求へ変わる可能性があります

これまで、

「毎月○万円」

だったものが、

住宅ローン残高全体について支払いを求める状態

へ変わります。

数千万円単位になることも珍しくありません。

だから、

通知を見て、

「こんなの絶対に払えない」

と思っても不思議ではありません。


2.遅延損害金についても確認が必要です

期限の利益を失った後の遅延損害金については、

契約内容によって計算対象や利率が異なります。

だから、

「必ず残高全額に○%」

とはこの記事では決めつけません。

通知に、

元金。

利息。

遅延損害金。

その他の費用。

どのような内訳が書かれているのかを確認します。


3.返済条件の相談は、状況が厳しくなることがあります

返済期間の延長。

一定期間の返済額の軽減。

こうした返済条件の変更は、

一般に早い段階で相談するほうが選択肢を検討しやすくなります。

期限の利益を失ったあとでも、

金融機関等へ何も聞かずに「もう絶対無理」と決める必要はありません。

ただし、

それまでと同じような返済条件変更ができるとは限りません。

金融機関等の判断が必要です。


次に「代位弁済」が行われる場合があります

保証会社付きの住宅ローンの場合、

返済ができなくなったとき、保証会社が金融機関へ住宅ローン残高を支払うことがあります。

これが、

代位弁済

です。

保証会社の説明でも、返済できなくなった場合に保証会社が金融機関へ立替え返済し、その後は借主が保証会社へ返済する仕組みとされています。

重要なのは、

保証会社が払ったから、あなたの借金がなくなるわけではない

ということです。

返済について話す相手が、

金融機関から保証会社等へ変わります。


届いた通知の、どこを見るのか

一緒に確認したいのは、まず4点です。

1.誰から届いたのか

銀行。

信用金庫。

保証会社。

債権回収会社。

誰が差出人なのか。

これが、現在地を判断する大きな手がかりになります。


2.請求金額はいくらか

住宅ローン残高。

利息。

遅延損害金。

その他の金額。

何が、いくら請求されているのか

を分けて見ます。


3.期限が書かれているか

「○月○日まで」

と書かれている場合は、その日付を確認します。

ただし、

日付だけを見て慌てて何かに署名したり、家を売ると決めたりする必要はありません。

まず中身を確認します。


4.次に何をすると書かれているか

保証会社への請求。

代位弁済。

法的手続き。

担保不動産についての手続き。

などが記載されている場合があります。

この部分が、この先の流れを知る重要な手がかりです。


一人で読まなくても大丈夫です

数千万円という数字を見た瞬間、

文章が頭に入らなくなる方もいます。

それは不思議なことではありません。

だから、

そのまま持ってきてください。

封筒も残しておいてください。

怖くて開けていないなら、

そのままでも構いません。

一緒に開けます。

そして、

何が書かれているのか。

いつまでなのか。

どこまで進んでいるのか。

一つずつ確認します。


この段階でも、まだ考えられる方法があります

一括請求を受けたから、

すべて終わり。

ではありません。

状況によっては、次のような方法を検討します。

  • 金融機関等へ現在の取扱いを確認する
  • 家がいくらで売れるのか調べる
  • 通常売却で住宅ローンを完済できるか確認する
  • 完済できない場合、任意売却を検討する
  • 住宅ローン以外の債務も大きい場合、法的整理を含めて考える
  • 税金や差押えがある場合、それを含めて整理する

方法を先に決める必要はありません。

まず、

住宅ローン残高。

家の価格。

他の債務。

税金。

そして、

何を守りたいのか。

そこを見ます。


任意売却とは

家を通常の方法で売却しても、住宅ローン残高を完済できない場合、

抵当権を抹消できず、そのままでは通常の売却が難しいことがあります。

そこで、

債権者等と協議し、抵当権抹消について承諾を得たうえで売却する方法

が任意売却です。

住宅金融支援機構も、返済継続が困難な場合の選択肢として任意売却を案内しており、仲介業者の査定価格の確認、抵当権抹消の審査などの手続きを示しています。

つまり、

不動産会社だけで「できます」と決められるものではありません。

債権者等との調整が必要です。


「期限の利益喪失=必ず任意売却」ではありません

ここは大切です。

期限の利益を失ったから、

すぐ任意売却。

ではありません。

家を売れば完済できるなら、通常売却を検討できる場合があります。

家を残せる可能性があるのか確認する場合もあります。

他の債務が大きければ、弁護士など法律の専門家と一緒に考えたほうがいい場合もあります。

だから、

通知の名前だけで方法を決めない。

これが大切です。


今してほしいこと

1.通知を捨てない

通知。

封筒。

契約書。

金融機関から以前届いた郵便。

全部残してください。

順番に並べると、

これまで何が起きたのかが分かることがあります。


2.慌てて約束する前に内容を確認する

金融機関等へ連絡すること自体を避ける必要はありません。

むしろ放置はしないほうがいいです。

ただ、

内容を理解しないまま、

「○日までに全額払います」

「必ず○円払います」

など、実現できない約束をする必要もありません。

何を聞かれているのか。

何を答えるのか。

一緒に整理できます。

法律上の判断や代理交渉が必要な場合は、弁護士等の専門家につなぎます。


3.新しい借入で無理に工面しない

数千万円の一括請求を見れば、

「何とかお金を作らないと」

と思うかもしれません。

でも、

カードローン。

キャッシング。

消費者金融。

新しい借入。

こうした方法で穴を埋めようとすると、問題がさらに大きくなることがあります。

親族からの援助については事情によって違います。

一律に否定するものではありません。

ただ、

借りたあと、住宅ローン問題そのものが解決するのか

まで見てください。


なぜ今、整理することが大切なのか

もし今後、

家を売却して住宅ローンを整理する方法を選ぶ場合、

実際には多くの作業があります。

  1. 物件を調査する
  2. 査定を出す
  3. 債権者等と売却条件について確認する
  4. 買主を探す
  5. 購入申込みを受ける
  6. 抵当権抹消について債権者等の確認を受ける
  7. 差押え等があれば関係者と調整する
  8. 売買契約
  9. 決済・引渡し

住宅金融支援機構の任意売却手続でも、価格確認、販売活動、購入希望者が現れた後の抵当権抹消審査、契約、決済という複数の段階があります。

だから、

売却するにしても、今日決めて明日終わるものではありません。

今後さらに手続きが進めば、

使える時間が少なくなる可能性があります。

だからこそ、

焦って売るためではなく、

選べる状態のうちに現在地を確認する

ことが大切です。


一人で判断しなくて大丈夫です

一括請求の通知を前にして、

一人で、

「どの方法が正しいのか」

を判断するのは大変です。

一緒に確認するのは、

  • この通知は何を意味するのか
  • 今どの段階なのか
  • 次に何が起こる可能性があるのか
  • 家はいくらくらいなのか
  • 住宅ローン残高はいくらなのか
  • 通常売却で完済できるのか
  • 任意売却まで考える必要があるのか
  • 他の専門家が必要なのか
  • 何を守りたいのか

です。

一つずつで構いません。


私たちが一番大切にしていること

この段階でご相談いただいても、

最初から「任意売却しましょう」とは言いません。

不動産会社にとって、

売却は仕事になります。

でも、

仕事になることと、その人にとって一番いいことは同じとは限りません。

だから、

私たちは先に、

何を守りたいですか

と伺います。

家なのか。

家族の生活なのか。

子どもの学校なのか。

今後の生活費なのか。

そこによって方法は変わります。


不動産だけで答えが出ない場合

この段階になると、

住宅ローン以外の問題が重なっていることがあります。

他の借金。

税金。

差押え。

離婚。

相続。

共有名義。

そういう場合は、不動産会社だけで答えを決めません。

私たちは、一般社団法人 士業会とも連携しています。

必要に応じて、

弁護士。

司法書士。

税理士。

など各分野の専門家と一緒に考えます。

相談者を専門家の仕事に当てはめるのではなく、その方に必要な専門家を集める。

その考え方を大切にしています。


私たちに決められないこと

正直にお伝えします。

次のことは、私たちだけでは決められません。

  • 期限の利益に関する金融機関等の取扱い
  • 返済条件について再度相談できるか
  • 代位弁済がいつ行われるか
  • 任意売却に債権者等が応じるか
  • 任意売却の売出価格や売却条件
  • 抵当権抹消について承諾されるか
  • 引越し費用等について認められるか
  • 売却後の残債返済条件
  • 法的整理が必要か、どの手続きが適切か
  • 買主がいつ現れるか

だから、

「必ず大丈夫です」

とは申し上げません。

できること。

できないこと。

相手の判断が必要なこと。

そこを分けてお伝えします。


専門家コメント 宅地建物取引士 松本

この通知を持って来られる方から、

よく、

「もう終わりですか」

と聞かれます。

私はまず、

「終わりと決めるのは、まだ早いですよ」

と申し上げます。

そして、

「こんな金額、払えません」

と言われます。

当然だと思います。

数千万円の一括請求を見て、

平気でいられる人のほうが少ないと思います。

だから、

払う方法を一人で探すところから始めなくていい。

まず、

何が起きたのかを確認しましょう。

次に、

家はいくらなのか。

住宅ローンはいくら残っているのか。

他に借金や税金の問題があるのか。

何を守りたいのか。

そこを見ます。

そして、

もう一つお伝えしたいことがあります。

金融機関の担当者を敵だと思わないでください。

担当者にも、契約や組織上の役割があります。

保証会社へ代位弁済されたあとには、返済について話す相手そのものが変わることもあります。

誰かを責めることより、

今できることを確認する。

そのほうが大切です。

通知を一人で読めなければ、

持ってきてください。

一緒に読みます。

そして、

その先を一緒に考えましょう。


よくあるご質問

Q1.住宅ローンを払えないと犯罪になりますか?

住宅ローンを返済できないこと自体は、通常、刑事事件ではなく契約・債務の問題です。

ただし、別の違法行為があれば話は別です。


Q2.期限の利益を元に戻してもらえますか?

金融機関等の判断や契約内容によります。

「必ず戻る」「絶対戻らない」と一律には言えません。

通知と契約内容を確認しましょう。


Q3.何ヶ月滞納すれば期限の利益を失いますか?

一律ではありません。

住宅ローン契約に期限前の全額返済について定められている場合がありますので、ご自身の契約書や通知を確認する必要があります。


Q4.通知に署名して返送してもいいですか?

内容が分からないまま返送するより、まず内容を確認してください。

法律的な意味を判断する必要がある場合は、弁護士等の専門家へ確認します。

ただし、通知そのものを放置してよいという意味ではありません。


Q5.この通知が届いた後でも任意売却はできますか?

できる場合があります。

ただし、任意売却には債権者等との協議や抵当権抹消についての承諾が必要です。住宅金融支援機構でも、査定価格の確認や抵当権抹消の審査を経る手続きが案内されています。


Q6.代位弁済されたら借金はなくなりますか?

なくなりません。

保証会社が金融機関へ支払ったあと、保証会社等が借主に返済を求める仕組みです。


Q7.封筒を開けられません

そのままで構いません。

捨てずに、封筒ごとお持ちください。

一緒に確認します。


まとめ

  • 住宅ローンを払えないこと自体が犯罪になるわけではありません
  • 数千万円の一括請求を、すぐ用意できないからといって一人で無理な工面をしない
  • 期限の利益とは、期限まで一括返済を求められず分割返済できる利益
  • 住宅ローンでは、契約書や通知内容の確認が重要
  • 期限の利益を失うと、残高について一括請求される可能性がある
  • 保証会社付き住宅ローンでは、その後代位弁済が行われる場合がある
  • 代位弁済しても借金は消えません
  • 一括請求されたから、必ず任意売却というわけではない
  • 通常売却・任意売却・法的整理など、状況によって方法は違う
  • 任意売却には債権者等との調整が必要
  • 通知、封筒、契約書は捨てない
  • 分からない内容に、慌てて約束しない
  • ただし連絡や通知を放置もしない
  • 方法より先に、現在地を確認する
  • 一人で判断する必要はありません

無料相談・不動産に関するお問い合わせ

株式会社エルライフでは、

「期限の利益を喪失しました」

「残額を一括返済してください」

という通知が届いた段階からご相談を承っています。

任意売却をすると決めてから来ていただく必要はありません。

まず、

この通知が何なのか。

今どの段階なのか。

住宅ローン残高はいくらなのか。

家はいくらで売れる可能性があるのか。

何を守りたいのか。

そこから一緒に整理します。

住宅ローン以外に、税金、債務、離婚、相続などが重なっている場合には、一般社団法人 士業会とも連携して考えます。


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〒102-0083
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麹町駅前HILL-TOPビル7階


最後に

「一括で返してください」

その言葉を見たら、

頭が真っ白になると思います。

でも、

数千万円をどうやって明日用意するか

から考えなくていいんです。

まず、

何が起きたのか。

今どの段階なのか。

次に何が起こるのか。

まだ何ができるのか。

そこからです。

家を売るのか。

家を残せるのか。

任意売却なのか。

法律の専門家も必要なのか。

方法は、そのあとです。

通知を開けられなくてもいい。

契約書が分からなくてもいい。

住宅ローン残高が分からなくてもいい。

今の状態のまま、お話しください。

一人で数千万円の請求書と向き合う必要はありません。

一緒に読み、一緒に現在地を確認し、その先を一緒に考えます。

相談は、依頼ではありません。

まだ何も決めていなくても構いません。
家を売るかどうか、今ここで決める必要もありません。

うまく説明できなくても大丈夫です。
あなたが今、止まっているところから一緒に確認します。

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