結論
住宅ローンの催告書が届いたら、放置しないでください。
ただし、
「催告書が届いた=明日、家を失う」
という意味でもありません。
大切なのは、
書類の名前だけで怖がることではなく、何が書かれているのかを確認することです。
支払期限。
滞納している金額。
期限の利益についての記載。
一括請求についての記載。
保証会社についての記載。
今後の手続についての記載。
ここを確認します。
そして、
私はこの段階なら、
「もう少し様子を見ましょう」ではなく、今後の方向を具体的に考え始める時期
だと思っています。
督促状と催告書は、何が違うのか
まず、
ここが一番分かりにくいと思います。
督促状。
催告書。
名前は似ています。
そして、
金融機関によって書類の名称や内容も違います。
ですから、
「催告書なら必ずこの段階」
と、書類のタイトルだけで一律には判断できません。
一般的には、
督促状は、
「支払いが確認できていません。お支払いください」
という支払いを促す通知。
催告書は、
それよりも強い内容で、
「指定した期限までに支払いがなければ、次の手続に進む可能性があります」
という重要な警告を含む場合があります。
でも、
一番大事なのは名称ではありません。
中身です。
催告書が届いたら、最初に見るところ
封筒を開けるのが怖い方もいらっしゃいます。
でも、
まず次の部分だけ確認してください。
1.支払期限
いつまでに支払うよう求められているのか。
ここが最初です。
「今月中」
ではなく、
具体的な日付を確認してください。
2.滞納金額
住宅ローンの何回分なのか。
遅延損害金などが記載されているのか。
いくら必要なのかを確認します。
3.「期限の利益」という言葉がないか
催告書の中に、
期限の利益
期限の利益を喪失
などの言葉が書かれている場合があります。
これは非常に大切な部分です。
4.一括返済についての記載
「残額を一括して請求します」
などの記載がないか。
確認してください。
5.保証会社についての記載
保証会社へ請求する。
保証会社が代位弁済する。
といった内容が書かれている場合があります。
ここも、
今後誰と話をすることになるのかを知るうえで重要です。
催告書が届いても、まず家を売るとは決めません
ここは、
私の考えです。
催告書が届いた。
だから、
「任意売却しましょう」
ではありません。
まず確認することがあります。
今後、
住宅ローンの返済を続けられるのか。
今回だけの一時的な問題なのか。
今後も収入不足が続くのか。
家を売れば住宅ローンを完済できるのか。
売却しても借金が残るのか。
他の借入れはあるのか。
税金の滞納はないのか。
それを見てからです。
家を売るかどうかは、
その後で決めます。
「催告書が来たから終わり」ではありません
催告書という文字を見ると、
かなり不安になると思います。
でも、
この時点で人生が決まったわけではありません。
大切なのは、
今までと同じ状態ではなくなってきている
と理解することです。
住宅ローンを滞納して、
金融機関から何度か連絡が来ている。
それでも滞納が解消していない。
そして、
より強い通知が届いた。
つまり、
次の段階へ進む可能性が高くなっている
ということです。
次に起こる可能性がある「期限の利益の喪失」
住宅ローンでは、
毎月決められた金額を、
30年、35年などの期間をかけて返していきます。
これができるのは、
分割で返済することが認められているからです。
これを、
期限の利益といいます。
ところが、
契約で定められた条件に該当すると、
この分割返済を続けられる状態を失うことがあります。
これが、
期限の利益の喪失
です。
期限の利益を失うと、何が変わるのか
一番大きいのは、
「毎月払います」という今までの話ではなくなる可能性があることです。
例えば、
住宅ローンが1,800万円残っている。
毎月8万円返している。
その状態から、
期限の利益を失えば、
残っている債務について一括返済を求められることがあります。
普通、
1,800万円をすぐに払える方は多くありません。
だから、
ここから問題の性質が変わってきます。
「期限までに払えない」場合こそ、無視しないでください
催告書に、
「○月○日までに支払ってください」
と書かれている。
でも、
払えない。
このとき、
一番良くないのは、
「払えないから連絡しても仕方ない」
と思って放置することです。
払えないなら、
払えないことも含めて、今の状況を整理する必要があります。
今後収入が戻るのか。
何ヶ月なら支払えるのか。
住宅ローンの残高はいくらなのか。
家はいくらで売れるのか。
売れば完済できるのか。
任意売却が必要になるのか。
まず事実を確認します。
保証会社による代位弁済へ進む場合があります
住宅ローンに保証会社が付いている場合、
条件を満たすと、
保証会社が金融機関へ支払いを行うことがあります。
これが、
代位弁済
です。
ここで注意していただきたいのは、
保証会社が住宅ローンを代わりに払ったから、借金がなくなるわけではない
ということです。
その後は、
保証会社などから、
返済を求められることになります。
つまり、
返す相手が変わる
ということです。
催告書の段階で、なぜ動いたほうがいいのか
理由は簡単です。
次の段階へ進む前だからです。
期限の利益を失う。
一括請求になる。
代位弁済される。
競売の申立てに進む。
段階が進むほど、
こちらが使える時間は減っていきます。
だから私は、
催告書が届いている方には、
「売るかどうかを決めてください」ではなく、「今の状況を確認しましょう」
と申し上げます。
今なら、まだ数字を確認する時間があります
まず、
家の価格を調べます。
例えば、
住宅ローン残高が2,000万円。
家の査定価格が2,500万円。
なら、
売却費用などを考慮する必要はありますが、
任意売却ではなく、
通常の売却で整理できる可能性があります。
反対に、
住宅ローンが2,500万円。
家の価格が1,800万円。
なら、
売却しても住宅ローンが残る可能性があります。
この二人は、同じ「催告書が届いた人」でも、考える方法がまったく違います。
だから、
まず数字です。
家を売らずに済む可能性も確認します
私は、
催告書が届いたからといって、
最初から家を売る方向へ話を進めるのは違うと思っています。
今後の返済が可能なのか。
金融機関と話ができる余地はあるのか。
一時的な収入減なのか。
保険や保障で対応できるものはないか。
確認できることは確認します。
その結果、
売らなくて済むのであれば、
それでいいのです。
それでも返済を続けるのが難しい場合
数字を確認した。
今後の収入も考えた。
それでも、
毎月の住宅ローンを払い続けることが難しい。
その場合は、
次を考えます。
通常売却で完済できるのか。
任意売却が必要なのか。
リースバックなど他の方法を検討するのか。
法的整理が必要なのか。
最初から答えを決めるのではなく、一つずつ確認していきます。
任意売却を考えるなら、時間を残してください
任意売却は、
今日相談して、
明日全部終わる手続ではありません。
不動産の調査。
価格査定。
債権者との調整。
売出価格の確認。
販売。
買主探し。
各関係者との調整。
契約。
決済。
時間が必要です。
だから、
催告書の段階で相談していただければ、
競売手続が進んでから相談するより、
使える時間を残しやすくなります。
→ 任意売却は、時間との勝負です|どれくらいの期間が必要なのか
住宅ローンを払うために、別の借金を増やさないでください
催告書が届くと、
とにかく、
「この金額だけ何とか払わないと」
と思ってしまいます。
そして、
カードローン。
キャッシング。
消費者金融。
知人や親族からの借入れ。
で穴埋めしようとする方もいます。
もちろん、
一時的な資金不足で、
翌月から正常に戻せるのであれば、
話は違います。
でも、
来月も赤字。
再来月も赤字。
という状態なら、
借金で住宅ローンを払っても、
問題を先延ばしにしているだけかもしれません。
住宅ローンだけでなく、
家計全体を見てください。
家族にまだ言えていない方へ
催告書を、
家族に見つからないように隠している方もいます。
お気持ちは分かります。
家族を不安にさせたくない。
怒られるのが怖い。
自分で何とかしてから話したい。
そう思う方もいます。
でも、
問題が進めば、
いつまでも一人だけで抱えるのは難しくなります。
だからといって、今日すぐ家族全員に話してください、とも言いません。
まず、
今の状況を正確に確認してください。
何が起きているのか。
どんな方法があるのか。
それを整理してから、家族と話すこともできます。
「催告書が届きました」と、そのまま相談してください
専門用語を覚える必要はありません。
電話でも、
お問い合わせフォームでも、
最初は、
「住宅ローンの催告書が届きました」
それだけで構いません。
何が届いたのか。
いつ届いたのか。
何と書かれているのか。
こちらから確認していきます。
書類は、封筒ごと持ってきてください
これも大切です。
届いた催告書だけでなく、
それ以前に届いた、
督促状。
銀行からの案内。
保証会社からの通知。
住宅ローンの返済予定表。
契約書。
もしあれば、
全部持ってきてください。
揃っていなくても構いません。
捨てずに、
あるものを持ってきてください。
「まだ大丈夫ですよ」で終わる相談先には、もう一つ質問してください
相談したとき、
「まだ大丈夫ですよ」
と言われたら、
少し安心すると思います。
でも、
そこで終わらせないでください。
「なぜ、まだ大丈夫なんですか」
「私は今、どの段階なんですか」
「次に何が起きる可能性がありますか」
「いつまでに何をする必要がありますか」
と聞いてください。
具体的に説明できるかどうか。
そこを見てください。
相談するときは、この質問も使ってください
私は、
任意売却会社を細かな項目だけで見抜くのは、
一般の方には難しいと思っています。
でも、
質問は持って行けます。
特に、
「それは誰が決めるのですか」
「私の場合、間に合わない可能性はありますか」
この2つは、
ぜひ聞いてください。
→ 任意売却は、どこに相談すればいいのか|会社ではなく担当者を見る7つの視点
そして、
最後は、
この人、このチームなら任せられるか。
私はそこだと思っています。
→ 任意売却は、誰に任せるか|私なら、こういう基準で選びます
催告書の次に競売になるのか
必ず、すぐ競売になるわけではありません。
間に、
期限の利益の喪失。
一括請求。
保証会社による代位弁済など、
さまざまな段階が入ることがあります。
契約や金融機関によっても違います。
ですから、
「催告書が来たから、あと○ヶ月」
と一律には言えません。
ただし、
何もせずにいると、
さらに手続が進む可能性があります。
競売まで進めば、日付が具体的になります
競売の申立てがされ、
裁判所の手続が進めば、
その先は、
入札開始日。
入札終了日。
開札日。
売却決定日。
など、
具体的な日程で手続が進みます。
裁判所のBITでも、各裁判所の売却スケジュールが具体的な日付で公表されています。
だからこそ、
私は、
そこまで進む前の時間を大切にしてほしい
と思っています。
今日、していただきたいこと
催告書が届いている方は、
今日、
これだけしてください。
1.書類の日付を見る
いつ作成されたのか。
いつまでの支払いを求められているのか。
確認してください。
2.書類を全部集める
督促状。
催告書。
住宅ローン関係書類。
保証会社の通知。
あるものを一箇所に集めてください。
3.住宅ローン残高を確認する
正確でなくても構いません。
おおよその残高でも、
まずは十分です。
4.これからも払えるかを考える
今回だけ払えないのか。
来月以降も難しいのか。
ここを考えてください。
5.一人で判断できなければ、相談する
分からないから相談する。
それでいいのです。
最後に
催告書が届くと、
怖いと思います。
封筒を見るのも嫌になると思います。
「もう少ししたら何とかなる」
と思いたくなる気持ちも分かります。
でも、
催告書は、
あなたを責めるための紙ではありません。
今の状況が進んでいることを知らせる紙です。
なら、
やることは一つです。
今どこにいるのかを確認する。
まだ売らなくて済むのか。
通常売却で解決できるのか。
任意売却が必要なのか。
どれくらい時間があるのか。
何を先にするのか。
そこを一緒に整理すればいいのです。
家を売ると決める必要はありません。
任意売却すると決める必要もありません。
でも、
催告書を机の引き出しに入れて、時間まで一緒にしまわないでください。
時間は、
待ってくれません。
そして、
早く動くというのは、
早く家を売るという意味ではありません。
早く、自分の状況を知るということです。
そのうえで、
あなたの人生を一緒に考えてくれる味方を見つけてください。
→ 住宅ローンが払えない。30年以上、そんな方を見てきた私ならこうします。
一般社団法人 士業会 代表理事
株式会社エルライフ 代表取締役
松本 淳一
不動産の仕事に携わって40年近く。住宅ローンの返済に困った方のご相談に携わって30年以上になります。
よくあるご質問
Q1. 催告書が届いたら、もう競売になりますか。
すぐに競売になると一律には言えません。
契約内容や金融機関、その後の手続によって異なります。
ただし、
放置すれば次の手続へ進む可能性があります。
書面の内容と期限を確認してください。
Q2. 催告書と督促状は何が違いますか。
名称や内容は金融機関によって異なります。
一般的には、
督促状よりも催告書のほうが、
期限や今後の手続について、より強い内容が書かれている場合があります。
ただし、
名前だけではなく、
実際に書かれている内容を見ることが重要です。
Q3. 催告書に書かれた金額を払えません。どうすればいいですか。
払えないからといって、
書類を放置しないでください。
今後の収入。
住宅ローン残高。
不動産価格。
他の借入れ。
などを確認し、
今後どうするのかを整理する必要があります。
Q4. 催告書が届いたら、任意売却したほうがいいですか。
催告書が届いただけで、
任意売却をすると決める必要はありません。
売らずに済む可能性。
通常売却で完済できる可能性。
任意売却が必要になる可能性。
それぞれ確認してから決めます。
Q5. 家族にまだ話していません。それでも相談できますか。
はい。
まずご本人だけで、
今の状況を確認することもできます。
必要な情報共有がある場合には、
内容をご説明したうえで進めます。
Q6. 催告書をなくしてしまいました。相談できますか。
相談できます。
手元にある書類だけで構いません。
金融機関名や現在分かる状況から整理していきます。
Q7. まだ払える方法を探したいです。相談してもいいですか。
もちろんです。
相談=家を売ることではありません。
売らずに済む方法があるかを確認することも、
相談の一つです。
まとめ
- 催告書が届いても、明日家を失うわけではない
- ただし、放置する段階ではない
- 督促状と催告書は、名称だけではなく内容を見る
- 支払期限、滞納額、期限の利益、一括請求、保証会社の記載を確認する
- 催告書が届いたからといって、最初から任意売却を決めない
- まず、今後返済できるのかを確認する
- 期限の利益を失うと、一括返済を求められる場合がある
- 代位弁済されても、債務が消えるわけではない
- 催告書の段階は、次の手続へ進む前に動ける大切な時期
- 住宅ローンを別の高金利借入れで埋め続ける前に全体を見る
- 書類は捨てず、封筒ごと持って相談する
- 早く動く=早く売る、ではない
- 早く、今の自分の状況を知る
- そして、自分の味方を見つける
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最後に
催告書が届いたとき、
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書類そのものではありません。
何が起きているのか分からないことです。
分からないから、
怖くなる。
分からないから、
封筒を閉じる。
分からないから、
もう少し待とうと思う。
でも、
分からないものは、確認すればいい。
今どの段階なのか。
次に何が起きる可能性があるのか。
まだ払っていけるのか。
家を売らずに済むのか。
売るなら、いくらなのか。
住宅ローンはいくら残るのか。
それを一つずつ確認すればいいのです。
催告書が届いたことだけで、
家を売ると決める必要はありません。
任意売却を決める必要もありません。
でも、
催告書を見なかったことにするのだけは、やめてください。
時間は、
その間にも進みます。
早く売ってください、
という話ではありません。
早く、自分の状況を知ってください。
そして、
その状況を一緒に考えてくれる、
本当の味方を見つけてください。



