住宅ローンを滞納するとどうなる 1日目から起きることの全部

結論

住宅ローンを滞納したからといって、

翌日に家を失うわけではありません。

でも、

何もしないまま時間が過ぎれば、少しずつ選べる方法は減っていきます。

最初は、

金融機関からの電話や案内。

その後、

督促。

催告。

期限の利益の喪失。

一括請求。

保証会社による代位弁済。

そして場合によっては、

競売の手続きへ進んでいきます。

ただし、

何ヶ月目に何が起きるかは、金融機関・契約内容・保証会社・滞納状況によって違います。

だからこの記事では、

「○ヶ月目なら必ずこうなる」

とは書きません。

代わりに、

何が起きるのか。

その書類には、どんな意味があるのか。

どの段階なら、何を考えられるのか。

そこを順番にお話しします。


まず知ってほしいこと

住宅ローンを払えなくなった方の多くが、

最初にこう思います。

「1回遅れただけやから、まだ大丈夫」

もちろん、

1回の遅れですぐに競売になるわけではありません。

でも、

ここで一番怖いのは、

「まだ大丈夫」という言葉だけで、何もしないことです。

住宅ローンの問題は、

ある日突然、家を失う問題ではありません。

段階を踏んで進む問題です。

だからこそ、

早い段階なら、考えられる方法も多い。

反対に、

段階が進むほど、

時間と選択肢が減っていきます。


住宅ローン滞納の流れ

大きく分けると、次のように進みます。

  1. 返済日に支払いができない
  2. 金融機関から連絡が来る
  3. 督促状などが届く
  4. 催告書など、より強い通知が届く
  5. 期限の利益を失う
  6. 残っている住宅ローンの一括返済を求められる
  7. 保証会社が代位弁済する場合がある
  8. 債権者が変わる
  9. 競売の申立てが行われる場合がある
  10. 裁判所から競売開始決定通知などが届く
  11. 現況調査・評価などが進む
  12. 期間入札・開札などの売却手続へ進む

ただし、これは一般的な流れです。

すべての住宅ローンが、

同じ順番・同じ期間で進むとは限りません。


滞納が始まった直後

返済日に引き落とせなかった

最初は、

住宅ローンの返済日に口座残高が足りず、

引き落としができなかった。

というところから始まることが多いと思います。

この時点では、

まだできることがたくさんあります。

一時的に資金が足りなかっただけなのか。

今後も返済が難しいのか。

収入が戻る見込みがあるのか。

病気や休職なのか。

会社の業績悪化なのか。

離婚なのか。

原因によって、考える方法が変わります。


まず、銀行からの連絡を無視しないでください

金融機関から、

電話。

メール。

書面。

などで連絡が来ることがあります。

このとき、

怖くなって電話に出ない方もいらっしゃいます。

気持ちは分かります。

でも、

私は、ここで連絡を切らないでほしいと思っています。

まだ滞納が浅い段階なら、

金融機関へ事情を説明し、

返済方法について相談できる場合があります。

もちろん、

希望した条件が必ず認められるわけではありません。

でも、

まだ話ができる段階です。


督促状が届いた

滞納が解消されないと、

金融機関などから督促の書面が届くことがあります。

ここで、

「家を取られる」

と思われる方がいます。

でも、

督促状が届いた=明日競売

ではありません。

ただし、

「もう少し様子を見よう」で放置する段階でもありません。

ここで確認していただきたいのは、

  • いくら滞納しているのか
  • いつまでの支払いを求められているのか
  • 次に何が起きる可能性があるのか
  • 今後の返済を続けられる見込みがあるのか

です。


督促状が届いたら、家を売るべきなのか

すぐに売ると決める必要はありません。

まず、

今後の返済を続けられるのか。

売却した場合、

いくらで売れて、

住宅ローンがいくら残るのか。

そこを確認してください。

まだ売らずに済む方法がある方もいます。

通常売却で完済できる方もいます。

最初から任意売却ありきで考える必要はありません。

住宅ローンが払えない。30年以上、そんな方を見てきた私ならこうします。


催告書が届いた

督促よりも、

さらに強い内容の書面が届くことがあります。

書面の名称や内容は金融機関などによって異なりますが、

「このまま支払いがなければ次の手続に進みます」

という意味を持つ重要な書面が含まれることがあります。

ここまで来ると、

私は、

書類を持って相談していただきたい段階

だと思っています。


書類のタイトルだけで判断しないでください

大切なのは、

「督促状」

「催告書」

という名前だけではありません。

書いてある内容です。

支払期限。

滞納金額。

一括請求についての記載。

保証会社についての記載。

期限の利益についての記載。

そこを見ます。

意味が分からなくて構いません。

封筒ごと持ってきてください。


期限の利益を失うとは

ここから、

住宅ローンの問題でよく出てくる言葉があります。

「期限の利益の喪失」

です。

難しい言葉ですが、

簡単に言えば、

住宅ローンを、

毎月分割で返していける権利を失う

ということです。

住宅ローンは、

本来なら30年、35年などの長い期間をかけて返済します。

それが、

契約上の条件により期限の利益を失うと、

残っている債務について一括返済を求められることがあります。


「一括で返してください」と言われても、払える人はほとんどいません

例えば、

住宅ローンがまだ2,000万円残っていたとします。

それを、

「一括で返してください」

と言われても、

普通は難しいと思います。

だからこそ、

ここから先は、

今までと同じ返済方法を続ける話ではなくなってきます。

不動産をどうするのか。

売却したらいくらになるのか。

残債はどうなるのか。

債権者は誰になるのか。

次の生活をどうするのか。

そうしたことを、

まとめて考える必要があります。


代位弁済とは

住宅ローンに保証会社が付いている場合、

一定の条件のもとで、

保証会社が金融機関へ支払いを行うことがあります。

これを、

代位弁済

といいます。

ここで、

よくある誤解があります。

「保証会社が払ってくれたから、住宅ローンがなくなった」

わけではありません。

保証会社が金融機関へ支払った後は、

今度は保証会社などから返済を求められることになります。

つまり、

借金が消えたのではなく、返す相手が変わった

と考えてください。


代位弁済通知が届いたら

ここまで進んでいる場合、

私は、

できるだけ早く状況確認をしてほしい

と思っています。

まだ、

任意売却を含めて調整できる可能性がある場合があります。

ただし、

ここでも、

必ず任意売却できるとは言えません。

債権者。

物件価格。

残債。

差押え。

時間。

買主。

さまざまな条件があります。

だからこそ、

「できます」

ではなく、

「今どこにいて、何ができるのか」

を確認することが大切です。


競売の申立てが行われる場合があります

返済問題が解決せず、

債権者が法的手続を進めた場合、

不動産競売の手続に進むことがあります。

裁判所から、

競売開始決定通知

などの書類が届く段階です。

この書類を見て、

初めて問題の大きさに気づかれる方もいます。

でも、

ここまで来たからといって、

何も確認せず「もう終わり」と諦めないでください。

一方で、

「まだ何ヶ月もあるから大丈夫」

とも思わないでください。

ここからは、

時間を具体的に見る必要があります。


競売開始決定後は、裁判所の手続が進みます

裁判所の競売では、

物件の調査や評価が行われ、

その後、

入札期間。

開札。

売却許可決定。

代金納付。

などへ進みます。

裁判所の公式案内でも、

期間入札では、定められた期間内に入札を受け付け、

その後に開札し、

売却許可などの手続へ進む流れが示されています。

だから、

競売開始決定通知が来た後は、「残り何ヶ月」という感覚だけで判断しないこと。

実際の書類と日程を確認してください。


現況調査が行われることがあります

競売手続では、

執行官などによる物件調査が行われます。

家の状況。

占有状況。

権利関係。

などが確認され、

評価のための調査も進みます。

この段階まで来ると、

「競売が現実の手続として進んでいる」

と認識してください。

ただし、

だからといって、

この記事だけを見て、

「もう間に合わない」

「まだ間に合う」

と判断しないでください。

事件ごとに日程が違うからです。


期間入札・開札へ進む

競売手続がさらに進むと、

入札期間が設定され、

入札を受け付け、

その後に開札が行われます。

裁判所のBITでは、

実際に各裁判所ごとの、

閲覧開始日。

入札開始日。

入札終了日。

開札日。

売却決定日。

などが公開されています。

つまり、

競売は「いつか進む」のではありません。

具体的な日付で進みます。


「いつまで任意売却できますか」

これは、

非常によく聞かれる質問です。

でも、

私は、

「開札日までなら大丈夫です」

のような一律の言い方はしません。

任意売却には、

買主を見つける時間だけでなく、

債権者との調整。

売却条件の確認。

差押えなどの調整。

売買契約。

決済準備。

などが必要になるからです。

大切なのは、最後の日から逆算することです。

任意売却は、時間との勝負です|どれくらいの期間が必要なのか


では、どの段階で相談すればいいのか

私の答えは、

「困ったと思った時点」です。

まだ滞納していない。

それでも構いません。

1回滞納した。

構いません。

督促状が届いた。

構いません。

催告書が届いた。

代位弁済された。

競売開始決定通知が来た。

どの段階でも、今の状況を確認することには意味があります。

ただし、

早いほど、選べる方法が多い。

これは間違いありません。


まだ滞納していない方

ここは、

ぜひ読んでいただきたいところです。

「来月から払えないかもしれない」

それも、

立派な相談理由です。

むしろ、

まだ滞納していないからこそ、

考えられることがあります。

金融機関へ相談する。

収支を整理する。

不動産価格を調べる。

売却した場合の残債を確認する。

家族と話す。

何も決めず、まず数字を見ることができます。


滞納が始まった方

一番避けていただきたいのは、

穴埋めのために、さらに高い金利の借入れを繰り返すことです。

住宅ローンの返済のために、

カード。

キャッシング。

消費者金融。

親族からの借入れ。

を重ねて、

住宅ローン以外の借金まで増えてしまう方がいます。

もちろん、

一時的な資金繰りで解決する場合もあります。

でも、

今後の収支を見たとき、

毎月の赤字が続くのであれば、穴を埋めるだけでは問題は解決しません。

一度、

全体を整理してください。


一人で全部調べなくて構いません

住宅ローンを滞納すると、

聞いたことのない言葉が一気に出てきます。

期限の利益。

期限の利益喪失。

代位弁済。

求償権。

競売開始決定。

現況調査。

期間入札。

開札。

普通の人が知っている必要のない言葉ばかりです。

知らなくて当たり前です。

だから、

全部インターネットで調べてから相談しようとしなくて構いません。

分からないから、プロに聞く。

それでいいのです。


ただし、誰に相談するかは大切です

住宅ローンの問題は、

不動産だけでは終わりません。

税金。

差押え。

離婚。

連帯保証。

相続。

残った借金。

次の住まい。

場合によっては法的整理。

いくつもの問題が重なることがあります。

だから、

私なら、

会社の大きさだけでは選びません。

実際に誰が動くのか。

その人の後ろに、どんなチームがいるのか。

そこを見ます。

任意売却は、誰に任せるか|私なら、こういう基準で選びます

相談するときの質問は、

こちらにまとめています。

任意売却は、どこに相談すればいいのか|会社ではなく担当者を見る7つの視点


私たちに決められないこと

ここも、

正直に書いておきます。

私たちだけでは、

決められないことがあります。

  • 返済条件を変更してもらえるか
  • 任意売却に応じてもらえるか
  • 売却条件
  • 引越し費用を確保できるか
  • 残債の返済方法
  • 税金の差押え解除
  • 買主がいつ現れるか
  • 法的整理が必要かどうか

「相談すれば全部解決します」

とは申し上げません。

でも、

今どこにいるのかを整理することはできます。

そして、

次に誰と話す必要があるのか。

何を確認するのか。

どんな選択肢があるのか。

一緒に整理することはできます。


今日、してほしいこと

まだ何も決めなくて構いません。

今日してほしいのは、

3つだけです。

1.届いた書類を捨てない

封筒も含めて、

一箇所に集めてください。

2.住宅ローン残高を確認する

分からなければ、

今分かる範囲で構いません。

3.今後も毎月払えるのかを考える

今月だけの問題なのか。

来月も難しいのか。

今後も収入が戻らない可能性があるのか。

ここが大切です。


最後に

住宅ローンを滞納した。

その瞬間に、

人生が終わるわけではありません。

家を失うと決まったわけでもありません。

でも、時間だけは進みます。

督促が来る。

催告が来る。

一括請求になる。

代位弁済になる。

競売へ進む。

そうなる前に、

できることがあります。

そして、

手続が進んでしまった後でも、

今の段階を知ることで、次に何をするかは考えられます。

だから、

自分を責める時間より、

今どこにいるのかを確認する時間にしてください。

家を売るかどうかは、

その後で構いません。

任意売却をするかどうかも、

その後です。

まず、自分の味方を見つけてください。

住宅ローンが払えない。30年以上、そんな方を見てきた私ならこうします。

一般社団法人 士業会 代表理事
株式会社エルライフ 代表取締役
松本 淳一

不動産の仕事に携わって40年近く。住宅ローンの返済に困った方のご相談に携わって30年以上になります。


よくあるご質問

Q1. 住宅ローンを1回滞納しただけで競売になりますか。

通常、1回支払いが遅れただけで、直ちに競売になるという話ではありません。

ただし、契約内容や状況はそれぞれ違います。

放置せず、まず金融機関から届いている案内を確認してください。


Q2. 督促状が届いたら、もう家を売らないといけませんか。

いいえ。

督促状が届いたことだけで、

売却が決まるわけではありません。

今後返済を続けられるのか。

売却すれば完済できるのか。

他の方法があるのか。

まず状況を確認してください。


Q3. 期限の利益を失うとは、どういう意味ですか。

毎月分割で返済していくことができる状態から、

契約上、

残っている債務の一括返済を求められる状態になることです。

具体的な扱いは、

契約書や届いた通知を確認してください。


Q4. 代位弁済されたら、借金はなくなりますか。

いいえ。

保証会社が金融機関へ支払ったからといって、

債務そのものが消えるわけではありません。

その後は、保証会社などが返済を求める側になる場合があります。


Q5. 競売開始決定通知が届いたら、任意売却はもうできませんか。

一律には言えません。

競売開始決定後も、

事件ごとに具体的な日程があります。

ただし、

競売手続は進みます。

書類の日付を確認し、できるだけ早く相談してください。


Q6. まだ滞納前ですが、相談できますか。

もちろんです。

むしろ、

滞納前のほうが考えられる方法が多い場合があります。

「来月から払えそうにない」

という段階でも構いません。


Q7. 家族にまだ話していません。それでも相談できますか。

はい。

まずはご本人だけで、

今の状況を確認することもできます。

ご相談内容は適切に取り扱い、

専門家等との情報共有が必要な場合には、

内容をご説明したうえで進めます。


まとめ

  • 住宅ローンを滞納しても、翌日に家を失うわけではない
  • ただし、手続は段階を踏んで進む
  • 金融機関からの連絡を無視しない
  • 督促・催告が来ても、すぐに売ると決める必要はない
  • 期限の利益を失うと、一括返済を求められる場合がある
  • 代位弁済は借金が消えることではなく、返す相手が変わること
  • 競売開始決定後は、裁判所の手続が具体的な日程で進む
  • 開札日までなら必ず任意売却できる、とは言えない
  • 滞納前でも相談して構わない
  • 穴埋めの借入れを繰り返す前に、全体を見る
  • 早いほど、考えられる方法は多い
  • まず家を売るのではなく、今の状況を知る
  • そして、自分の味方を探す

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  • 期限の利益喪失と書かれている
  • 代位弁済の通知が届いた
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  • 債権回収会社から通知が届いた
  • 裁判所から競売関係の書類が届いた
  • 競売開始決定通知が届いた
  • 家族にまだ話せていない
  • 住宅ローン返済のために他の借入れをしている
  • 売った後の住宅ローンや生活が心配

最後に

住宅ローンを滞納すると、

不安から、

「もう終わりだ」

と思ってしまう方がいます。

でも、

問題は、

滞納したことだけではありません。

今の状況が分からないまま、一人で時間を過ごしてしまうことです。

まだ滞納していないなら、

その段階でできることがあります。

督促状が届いたなら、

その段階で確認することがあります。

期限の利益を失ったなら、

次に何が起きるかを確認する。

代位弁済されたなら、

誰と話すのかを確認する。

競売開始決定通知が届いたなら、

具体的な日程から逆算する。

どの段階でも、

まず、

今どこにいるのかを知ることです。

そして、

一人で全部判断しないでください。

住宅ローンの問題は、

不動産だけではありません。

税金。

法律。

借金。

家族。

次の住まい。

仕事。

その後の生活。

いろいろな問題が重なることがあります。

だからこそ、

どこの会社に相談するかだけではなく、誰を自分の味方につけるのか。

そこを考えてください。

家を売るかどうかは、

その後で構いません。

まず、自分の状況を知ること。

そして、

本当の味方を見つけること。

そこから始めてください。